2020年度税制改正で空き地投資を後押し!
2020年度に税制が改正される法案がいくつかあります。
その中でも昨今から空き地問題が取り上げられ、政府も2020年度の改正で、空き地の売却を促す制度改正に本腰を入れ始めました。
2019年12月にまとめた20年度税制改正では、長らく使われていない空き地を売ったときは売却益から100万円を控除した上で税額を計算するようにし、税負担を軽くするといわれています。
政府・与党の狙いは、空き地が長い間放置されて、いわゆる「所有者不明土地」になるのを防ぐことにあります。
税負担が軽くなることで空き地を売る機運が高まり、投資家は空き地を激安で手に入れるチャンスが増えるかもしれません。
まずは、税制改正の中身をみてみましょう。
現在は、5年を超えて保有している土地を売ったとき、売却益の20%の所得税と住民税がかかっています。
税制改正では、「保有期間が5年を超える」「売却価格が500万円以下」といった条件を満たす「都市計画区域内にある低未利用土地」などについて、売却益から最大100万円を控除した上で課税するとしました。
※「22年末まで」という期間制限があり、注意が必要です。
主な狙いは、登記簿などをみてもすぐ所有者が分からなかったり、分かってもすぐに連絡がつかなかったりする、いわゆる所有者不明土地が増えるのを防ぐことにあります。
所有者不明土地の問題は近年、たとえばリニア新幹線の工事を進めるときなどに浮き彫りとなりました。
所有者不明土地が点在しているため、残土を運ぶトラックの通路用土地を確保できないといった問題が表面化してしまいました。
所有者不明土地問題研究会の試算によると、40年に所有者不明土地は、全国で約720万ヘクタールに達する可能性があるといいます。
北海道(約780万ヘクタール)の約9割に上る広さであり、所有者不明土地が存在することによる経済の損失は、17~40年で累計6兆円に達するといいます。
[所有者不明土地問題研究会の資料より]
今回の税制改正は、税負担を軽くして空き地の売却を後押しし、所有者不明土地の増加を食い止める狙いがあります。
価格が低い空き地や地方の土地は、売っても不動産業者に払う手数料が高かったり税金がかさんだりするため、利益があまり出ません。
なかなか売却されず、放置されるうち所有者が亡くなり、所有者不明土地がどんどん増える心配があるのが現状です。
不動産投資家は、こうした税制改正を踏まえて、どう対応するか、賢く戦略を練っていきましょう。
100万円の控除は大きいので、空き地の売却に積極的になる地主が増えてもおかしくありません。
地主に空き地を売ってもらいたいときには、100万円の控除は有力な説得材料になるでしょう。
〝激安〟の空き地なら、キャッシュで買える人も少なくないはずです。
銀行から融資を引けず困っている投資家は、あえてキャッシュでの空き地投資に乗り出していくのも手だと思います。
具体的には、更地にして駐車場や企業の資材置き場などとして貸し出すといったやり方が考えられますし、場合によっては戸建て住宅やアパートを建てたりして貸し出してもいいでしょう。もちろん、綿密な市場調査は必要です。
政府は空き地問題で様々な手を打とうとしています。
2020年度は私たち不動産会社にとってみても、投資家にとってみてもたくさんの変化がある年です。
この変化の年に使える制度は使い、より良い不動産投資が行えると良いですね。
私たちもお手伝いができるよう精一杯学んで、皆様に還元していこうと思います。