不動産相続登記が義務化②
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所有者不明土地が発生する大きな原因が、これまで述べてきたように相続による名義変更登記や所有者の住所変更登記がされないまま、放置されていることで不動産の所有者が誰なのか判断できないことが大きな理由とされています。
そこで、兼ねてから相続登記を義務化することが検討されており、法案の議論もかなり進み、2021年2月10日に法制審議会民法・不動産登記法部会第26回会議において民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)が決定され、3月5日に改正案を閣議決定しました。
今国会中に関連法規を成立後、2023年度に施行される予定です。
所有者の情報を正確に反映させ、連絡をとれるようにするための方策として、要綱案における不動産登記の義務化に関連するポイントは下記のとおりです。
①相続登記の義務化
②住所変更登記の義務化
③所有者情報など連絡先の把握
①相続登記の義務化
〇相続で不動産取得を知った日から3年以内に手続きを登記・名義変更をしなければ10万円以下の過料の対象となる
〇相続人が遺言で財産を譲り受けた場合も同様に3年以内にしないと名義変更も過料の対象となる
〇遺産分割がまとまらず相続登記ができない場合には相続人であることを申告すれば相続登記をする義務は免れる
〇相続人申告後、その後の遺産分割協議によって不動産の所有権を取得したときは、遺産分割の日から3年いないんに登記しなければならない義務が発生する
・・・などが改正ポイントです。
不動産の所有者について相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得したものは相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記をしなければなりません。
これは遺言などの遺贈(相続人に対する遺贈のみ)により所有権を取得したものも同様です。
また、速やかに相続登記をできない場合には、相続人であることを申出をすれば相続登記をする義務は免れる制度((相続人申告登記(仮称))が設けられました。
この申出がされた場合には、法務局(登記官)が登記記録に申出をした者の氏名住所などが記録します。
申出をした者がその後遺産分割協議が成立し不動産の所有権を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に登記をしなければなりません。
そして、遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)の所有権の移転の登記と法定相続登記後の遺産分割、相続放棄などの事由による所有権更正登記について不動産登記法上、他の相続人等との共同申請を求められていたものが簡略化されて、登記権利者が単独で申請することができるようになります。
今までは制限が無かった相続登記ですが、様々な場合に対処し登記が義務付けられていますね。
次回は
②住所変更登記の義務化
③所有者情報など連絡先の把握
についてブログを書きたいと思います!